4類感染症には日本脳炎や鳥インフルエンザなど44種類あります。その一つにエキノコックス症という病気があり、全国的に症例数を把握しなければならない疾患の一つです。
さて、そのエキノコックス症がキツネや犬を介して全国的に広がっていることをご存知でしょうか?
感染症
エキノコックスは北緯40度以北の寒冷地にいます。日本でいうと岩手県の八幡平と秋田県の八郎潟を通っていてそれよりも北の地域に当たります。
成虫はキツネや犬に幼虫は野ネズミに寄生しています。成虫は腸内で卵を産み、その卵が糞と一緒に排泄され土や草を汚染して、それを口にした野ネズミに感染します。感染した野ネズミを食べたキツネで幼虫が成虫になるということが繰り返されていくわけです。
キツネに駆虫薬を飲ませるという試みもなされたことがあるようですが、薬を止めると再び広がってしまいました。薬に対する耐性も高まり根本的な解決には至っていません。
怖さ
この虫卵はどこにいるかわかりません。というのはその大きさが0.03㎜と極めて小さくて目で見ることは難しいからです。
キツネと野ネズミをループしている分には自然なので問題は生じませんが、偶然にでも人の口に入ると大問題を引き起こします。
エキノコックスが人に入って幼虫になると腸壁に侵入して、血流などを介して肝臓に寄生します。肝臓以外にも肺や腎臓あるいは脳にも寄生することがあるそうです。そして、ゆっくりと病巣を形成していき10年の潜伏期間を経て発症に至ります。
そうなると肝腫大や右上腹部の痛み、場合によっては胆管閉塞による黄疸、あるいは皮膚の痒みや腹水などの症状があらわれます。そして、根治療法としては手術が必要になり、術後も数年の薬物療法を要するそうです。
まとめ
野生のキツネを触ることはあまりないと思いますが、豊かな自然の中でもリスクが潜んでいるので注意が必要です。
外から帰ったら、うがいや手洗いを励行するとともに、きれいに見えても山菜や沢水なども100℃で1分以上の加熱処理を忘れないことです。